リアホイールを組んでて、何がいやってそらもう左右のスポークテンションに
差があることでしょう。
普通に組む限りでは反フリー側のスポークテンションは
フリー側の半分強ぐらいになることが多いです。
これがいろいろな意味で悪影響をおよぼします。
左右のバランスが悪いのがあかんのや~っ!、ということではなく、
フリー側のテンションが高くなりすぎるのがあかんのです。
反フリー側のテンションが低くなりすぎるのがあかんのです(←それを
バランスが悪いと言うのでは…)。
反フリー側のスポークテンションが低くなるのを嫌って、
フリー側のテンションを上げすぎると、当然壊れる危険性が高くなります。
過大な入力があったりしたときに、スポークの首がとびやすかったり、
ニップルが破損しやすかったり、リムが破損しやすかったりします。
また疲労破壊にも弱くなります。
逆にそ~っと組んで反フリー側のスポークがゆるゆるですと、
走行時に力が加わったときにテンションが0になりやすいです。
テンションが0になるとニップルが緩みやすいですよね。
ニップルが緩むと当然リムが振れてしまいます。
また、以前プッシュ側スポークの記事のときに、
スポークのテンションが減少することでも駆動トルクを伝えることができる、
と書きましたが、もしスポークのテンションが0になれば、
それを超える分についてはもう頑張れないことになります。
これは駆動トルクに関するホイールのねじり剛性については、
さほど問題にならない(テンション0にはならないだろう)と思いますが、
横からの入力に関する横剛性については大きな意味を持ってきます。
(詳細はまたそのうちに…)
では、実際にスポークのテンションの左右差はどれくらいなのか計算してみましょう。
左右のスポーク張力をそれぞれFl、Frとします。
スポーク張力によるリムに加わる左右の分力は
それぞれFl´、Fr´になります。
このときFl´=Fr´になるはずです。
また、Fl´:Fl=Hl:LlですのでFl´=FL×Hl/Llになります。
同じくFr´=Fr×Hr/Lrになりますので、Fl´=Fr´より、
Fl×Hl/Ll=Fr×Hr/Lrになります。
ということは、Fl=Fr×Hr×Ll/(Hl×Lr)になります。
フリー側のスポークテンション(Fr)を100kgfで固定したときの
反フリー側のスポークテンション(FL)を計算してみました。
スポークのテンションは、使用するハブのフランジ-センター間の距離
(図、表のHrとHL)でほぼ決まるので、
いろいろとスポークの組み方を変えてみても、
左右同じ組み方であればどれも差は変わらないですね。
しか~し!左右で組み方を違えるとか、フランジ-センター間が違う
ハブを使うとか、PCDが違うハブを使うとか、ERDが違うリムを使うとか、
ちょっと工夫をすればスポークテンションの左右差を埋められるかもしれませんね…。
次回はそのへんを…。