ママチャリなどによく使われている内装3段変速機を分解してみました。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、変速の仕組みなども解説してみたいと思います。
ブレーキ側の玉押しを緩めて外し、スプロケット側に引っ張ると内部一式が取り出せます。
これは、一旦分解し、洗浄してから再度組み立てたものです。
取り出したときは、グリスや汚れでぐっちゃぐちゃでした。
写真右下のCリングを取り外すと、スプロケットやカバーが外れます。
シャフトについているEリングを取り外すと、
Aの部品は残ったままですが、ベアリングリテーナーとB、Cの部品が取り外せます。
玉押しを外す前に、シャフト先端からの長さを測っておきます。
でないと、組み立てるときに、玉押しの場所がわからなくなります。
この個体は28.7mmでした。
内部に隠れていたDの部品が見えました。
Dはシャフトに沿ってスライドします。
Dがスライドしても、常にAにかみ合っているので、AとDは一緒に回転します。
これは部品Bです。ギザギザの歯とラチェットの爪があるだけです。
このようにAの爪とBの歯がかみ合います。
Aに駆動トルクがかかると、Bも回転しますが、AよりBのほうが
回転速度が速くなるとラチェットの働きでフリーになります。
部品Bの反対側です。
部品Cの歯車がカポッとはまります。
部品Cです。遊星歯車が見えます。てっぺんには部品Dがかみ合う溝がきってあります。
ドグクラッチになっています。
シャフトに切られた歯に、
このように遊星歯車がかみ合います。
シャフトを固定し、BやCを回転させると、BのほうがCより速く回転します。
これが変速の肝ですね。
Bを取り外した状態で、内部の動きを見てみましょう。
これが1速の状態です。
レバーを操作し2速にすると、ロッドがDを押します。
これが2速の状態です。
これが3速の状態です。DとCがドグクラッチでかみ合っています。
A、D、Cが一緒に回転します。
ハブシェルと内部の様子です。
ハブシェル内部には、Bのラチェットの爪とかみ合う歯と、
Cのラチェットの爪とかみ合う歯が切られています。
スプロケットに加えられたトルクは、Bからハブシェル、
またはCからハブシェルに伝えられます。
これは1速の状態です。Bの爪はひっこんでいます。
この状態では、Cからハブシェルにトルクが伝えられます。
これは2速や3速の状態です。Bの爪が起きています。
この状態では、Bからハブシェルにトルクが伝えられます。
BよりCのほうが回転が遅いので、ハブシェルとCの回転速度の差が生じるのですが、
Cのラチェットでハブシェルとはフリーになります。
1速です。スプロケからのトルクはAからBへと伝えられ、
遊星歯車により減速されてCからハブシェルへと伝えられます。
2速です。スプロケからのトルクはAからBへと伝えられ、
Bから等速のままハブシェルへと伝えられます。
このときCとハブシェルに回転差が生じるので、走行中にCのラチェット音が聞こえます。
3速です。スプロケからのトルクはA→D→Cと伝えられ、
遊星歯車により増速されてCからBへ伝えられ、Bからハブシェルへと伝えられます。
このときCとハブシェルに回転差が生じるので、走行中にCのラチェット音が
聞こえるのは2速のときと同じですが、さらにAとBに回転差が生じるので、
Aのラチェット音も聞こえます。
複雑な構造ですが、めったに壊れることはありません。
おもいっきり力を入れてペダルを踏んでいるときに変速すると、壊れることがたまにあります。
もし壊れたら内部一式交換になります。
変速するときは足の力を少し抜いてくださいね~。