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プル側スポークとプッシュ側スポーク

ホイールのこと

ペダルに加えられた力は、クランク→チェーンリング→チェーン→スプロケットから

ホイールに伝わり、タイヤが地面をけって前に進む力になります。

ホイールは、ハブ、スポーク、リムから成ります(ニップルもあるか)。

ペダルを踏んだとき、この3つの部品にはどのような力が加わっているのでしょうか。
 

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リムとハブを直線に伸ばして考えてみます。

ハブが右に動くとスポークに力が加わりリムも右に動きます。

スポークは曲がり方向の力や、押し方向の力は伝えることができません。

伝えることができるのは引っ張り方向の力だけです。

ということは、ハブが回転するとスポークが引っ張られることで

リムに回転する力を伝えている、ということになります。

リアホイールはスポークが交差するように組まれています。

タンジェント組みですね。

これにより2種類の向きのスポークが存在することになります。

では、どちらのスポークもハブが回転すると引っ張られる方向に

力が加わるのでしょうか。

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まず、赤いほうのスポークから考えます。

ハブが右に動くとスポークは引っ張られ、長くなる方向に力が

加えられます。

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ところが、青いスポークはハブが右に動くと短くなる方向に

押されてしまいます。

これではリムに力を伝えることができません。

リムからニップルが浮いてしまいます。

では赤いスポークだけでトルクを伝達しているのでしょうか。

いえいえ、実はそんなことはないのです。

 

ホイールを組むとき、スポークには初期張力をかけて組んでいます。

スポークテンションというやつですね。

ペダルに全く力を加えていなくても、もともとスポークには

初期張力の分だけ引っ張る力が発生しており、

ほんの少しだけ伸ばされた状態になっています。

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スポークは元の長さに戻ろうと、リムとハブフランジを

初期張力分の力で引っ張っています。

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ペダルを踏み込むと、ハブは右へ回転しようとします。

このとき、赤いスポークは張力が増加しますが、

青いスポークは張力が減少します。

赤いスポークをプル側スポーク、青いスポークをプッシュ側スポーク

(ほんとは押してるのではないですが・・・)とします。

リムに加わる力を考えてみましょう。

 

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スポークの張力を、それぞれFrとFbとします。

FrをFr1とFr2に分けて考えて見ます。

Fr1はリムを円周方向右に押す力、Fr2はリムを中心方向に

引く力になります。

同じくFb1はリムを円周方向左に押す力、

Fb2はリムを中心方向に引く力になります。

リムの回転に関係しているのはFr1とFb1です。

Fr2とFb2はリムを中心方向に変形させようとする力です。

スポークの張力FrとFbの大きさが同じであれば、

Fr1とFb1の大きさは同じで、

向きが逆なので、つりあって動かない状態になります。

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次に、ハブが回転しようとし、プル側スポークの張力が

増加したとします。

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Frが大きくなるのでFr1も大きくなり、

つりあいが崩れてリムが右へ動き出します。

 

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今度は、ハブが回転しようとし、プッシュ側スポークの張力が

減少したとします。

 

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Fbが小さくなるのでFb1も小さくなり、

つりあいが崩れてリムが右へ動き出します。

 

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実際はこれが同時に起きています。 

 

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ペダルを踏むと、こんな風にプル側スポークのテンションが増加し、

プッシュ側スポークのテンションが減少することでリムに駆動力が

伝えられているんですね。

32Hイタリアン6本組みなどでは、プル側スポーク16本だけで

トルクを伝達しているのではなく、プル側プッシュ側すべてのスポークで

トルクを伝達しているというわけなのです。

ただ、ここまでの話はだいぶ単純化して考えていますので、

実際のトルクの伝わり方は、スポークの本数や組み方とか、

スポークの初期張力とか、フリー側反フリー側のテンション差だとか、

いろいろな要素が絡んできてもう少し複雑なのではないかと思われます。

次回からはそのいろいろな要素のことをもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。


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